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2010年4月30日金曜日

前世紀前半のファンタジー

またDVDで映画を観た.
懲りずに↓

Amazon.co.jp: 雷撃隊出動 [DVD]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000FFK0CI/mdmk-22/

半分話: 不思議な映画で紹介した『加藤隼戦闘隊』と同じ時期に,同じ監督が,似たようなキャストで,似たような文脈の中で作られたはずなのに,全く違う作品になっている.
陸軍省と海軍省の介入の差なのだろうか.

資料的価値の大きさではこちらも負けてはいない.
というより航空母艦からの発艦シーンをはじめ,大小とりどりの本物の海軍機が飛び交うさまは,もう二度と再現することのできない貴重な映像.

ただし,ストーリーは海軍省の描くファンタジー.
それ以上でも,それ以下でもない.

そして,そのファンタジーは当たり前のように現実世界で実行に移された.
移されたが,現実が映画と並行していたのは,飛行機が飛び立つまで.
大戦末期の艦攻・陸攻の多くは,映画のように敵艦と相まみえることなど到底かなわず,はるか前方で敵機に撃ち落とされていった.
現実世界の若者たちとともに撃ち落とされていった.
いったい誰のために?
何のために?
それがファンタジーだとはわかっていたはずなのに.

全編通して観るのが精いっぱいだった.
観終わったあとも,しばらく重苦しい気分が襲う.



おそらく山本嘉次郎監督は「あんな映画」にする気は露ほどもなかったのだと考えたい.
そこかしこのカットで密かに,しかし決死の覚悟で力強くその思いを訴えているように感じる.

【関連エントリ】
半分話: 宗教の普遍性
半分話: 日本国憲法と大日本帝国憲法の関係